遷移金属カルベン錯体を用いたフラーレンの分子変換による革新的な光電変換材料の開発

山田道夫
(東京学芸大学 教育学部自然科学系 准教授)

2015年12月7日月曜日

出版書籍の紹介

私も分担執筆を務めた書籍がSpringerから刊行されましたのでご紹介致します。


Book title: Chemical Science of pi-Electron Systems
                    (Eds.: T. Akasaka, A. Osuka, S. Fukuzumi, H. Kandori, and Y. Aso)
http://www.springer.com/us/book/9784431553564


ここではπ電子系の化学に焦点を当て、
平面π電子系、曲面π電子系、ポルフィリノイド、開殻π電子系、
ヘテロ原子を含むπ電子系、π電子系の超分子化学、
π電子系の機能創出、生体π電子系、
といったところの最先端研究がまとまっております。
ハードカバー279ドル、電子版219ドルだそうで、
ぜひご購入いただければと思います。


2015年11月14日土曜日

続・共著論文発表

共著論文発表のご報告です。

Effective derivatization and extraction of insoluble missing lanthanum metallofullerenes La@C2n (n=36–38) with iodobenzene

Y. Maeda, T. Tsuchiya, T. Kikuchi, H. Nikawa, T. Yang, X. Zhao, Z. Slanina, M. Suzuki, M. Yamada, Y. Lian, S. Nagase, X. Lu, T. Akasaka

Carbon 98, 67–73 (2016)

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008622315304024


金属酸化物を含有した炭素棒をアーク放電により昇華させるとフラーレンや金属原子を内包したフラーレンが生成し、煤として得られます。
一般的には有機溶媒で煤を煮込むと、可溶なフラーレン類が抽出できるのですが、
ラジカル性の高いフラーレン類(La@C72, La@C74, La@C76など)は煤と結合しており抽出されません。
本論文では、抽出溶媒としてヨードベンゼンを用いると、抽出時にラジカル性の高いフラーレン類とヨードベンゼンから発生すると思われるフェニルラジカルが結合し、
可溶性のフラーレン誘導体として高ラジカル性フラーレン類を抽出できる、という内容になっております。

Web公開されていますが、論文の年号をみると2016年になってます。
2015年はもう終わりですかね。
焦ります。

2015年11月5日木曜日

共著論文発表

電気通信大学の加固先生のグループが主として進めてこられた研究の共著論文がChemistry -A European Journal誌に掲載されました。
Very Important Paper (VIP)に選ばれ、表紙にも採用されました。

Preparation, structural determination, and characterization of electronic properties of bis-silylated and bis-germylated Lu3N@Ih-C80

M. Kako, K. Miyabe, K. Sato, M. Suzuki, N. Mizorogi, W.-W. Wang, M. Yamada, Y. Maeda, M. M. Olmstead, A. L. Balch, S. Nagase, T. Akasaka,

Chem. -Eur. J. 2015, 21, 16411–16420.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/chem.201502511/full

金属内包フラーレンの外側に置換基を結合させることで、フラーレン特有の電子受容性を制御することができます。炭素置換基やケイ素置換基の導入はこれまで報告されておりましたが、今回はゲルマニウム置換基の導入も達成した、というお話です。
Lu3N@Ih-C80は、一般的なフラーレンC60よりもLUMOが高いため、太陽電池に用いた場合には、より大きな開放電圧が期待されます。
Lu3N@Ih-C80は最近では市販されるようになりました。25mgで570ドルします。





2015年10月6日火曜日

科学の祭典 

さる10月4日、弊学にて、「青少年のための科学の祭典」東京大会(in 小金井)が開催されました。例年は夏休みの自由研究を見越し、8月末開催なのですが、今年は会場確保できず、やむなく日程変更とのことです。にもかかわらず、多くの方がご来場下さいました。

我々の研究室でも「スライム」と「浮沈子」の二つブースを出しまして、それぞれ盛況でした。主たる対象は幼児〜小学生です。私は浮沈子のブースを担当したのですが、彼らに「浮力」を説明しようとして、自分の科学コミュニケーション能力の無さに直面したり(説明に「ふりょく」という言葉を使った時点で負けです)。
また、浮沈子というのは、水の入ったペットボトルにしょうゆ差しのような容器を浮かべ、ペットボトルを押すと容器が沈んだりするおもちゃですが、とある小さな女の子が、力が弱いためペットボトルを押して浮沈子を動かすことができず、悲しい表情をしていたのが強く心に残りました。。これならうまくいくと準備していても様々な想定外に直面します。

2015年8月21日金曜日

アンケート集計結果(その2) & 論文発表ご紹介

先日の投稿からだいぶご無沙汰しておりましたが、
アンケート集計結果(その2)、そして論文発表についてご報告します。

1/
過日開催しました、やさしい科学技術セミナーのアンケートでは、自由記入欄で感想や意見を書いて下さった方が多くいらっしゃいまして、私としても大変勉強になりました。
さまざまなコメントがありましたが、以下の傾向を読み取ることができました。

① 保護者の方からは、もっと実社会との関わり(応用例)を詳しく聞きたいという要望がやはり多い。私のセミナーではお示しした応用例が少なく不十分に感じられたそうでして、保護者の方のニーズを充分に汲み取ることができませんでした。これはまったくもって私の力不足でして、不毛な時間を過ごされた方がいらっしゃれば大変申し訳なく思います。

② 一方で高校生の方からは、応用例というよりも、化学と物理の関わり、化学と生物との関わりなど、他教科との関わり・結びつきを知ることができてよかった、というような感想が多く見られました。これについて私はこれまでさほど意識していなかったのですが、確かに生徒さんにしてみれば、学校の科目はそれぞれ独立していて、科目間の関係性がよく見えないために、なぜそれを勉強する必要があるのかわからない、と感じることがあるのでしょう。貴重な発見でした。

③ 50〜60分の講演というのは、長い!途中で中だるみしてしまったようで、もっと中盤を簡潔にせよ、とのご指摘もありました。これはまったくその通りでございまして、ご意見を今後の糧にしたいと思います。また、私の悪い癖なのですが、話し出すと止まらなくなってしまい、時間超過してしまった(本当は40分程度で終わらせるはずが。。)ので皆様に大変ご迷惑をおかけしました。

④ ネタバレになるので詳しく書きませんが、最後のスライドで伝えたことがやたら好評でした。これは予想外。。

2/
私が共著となっている論文がパブリッシュされましたのでご紹介:
これは私のプロジェクトではなく、研究室を共同で運営させていただいている前田先生が進めておられるプロジェクトです。

半導体性カーボンナノチュ―ブは、”光る”ことが知られているのですが、有機化学反応を駆使して表面を少しいじると、いつもより”もっと強く光る”ようになった、というお話です。ご興味の方は論文をどうぞ。

インサイドバックカバーにも選ばれました。

Y. Maeda et al.,
Control of the photoluminescence properties of single-walled carbon nanotubes
by alkylation and subsequent thermal treatment,
Chemical Communications 51, 13462–13465 (2015)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2015/cc/c5cc04020e#!divAbstract









2015年7月28日火曜日

セミナーのアンケート集計結果(その1)


先日のやさしい科学技術セミナーにて行なったアンケートの集計結果をご紹介します。

(Q1)あなたの学年/ご身分を教えて下さい。
1. 中学生  (4%)      
2. 高校一年生(25%)     
3. 高校二年生(25%)    
4. 高校三年生(18%)     
5. 保護者  (20%)          
6. その他  (7%)

→オープンキャンパスのために高校生一年生〜三年生が7割近いのは当然として、
 保護者の方が20%もご参加くださったのはうれしい想定外でした。 

(Q2)この企画をどこで知りましたか?
1. 東京学芸大学のウェブサイト  (53%)      
2. 国際科学技術財団のウェブサイト(5%) 
3. 学校の先生から        (5%)        
4. ポスターなどの掲示物     (19%)
5. その他            (17%)

→5. その他17%には、オープンキャンパスで配布したパンフレットや、オープンキャンパスの理科ブースでの案内、が多数を占めていました。
また、4. ポスターなどの掲示物19%を見ると、 ポスター/チラシを多摩六都科学館にも設置して頂いたのが功を奏したようです。

(Q3)化学はもともと好きですか?
1. とても好き      (31%)        
2. どちらかというと好き (50%)
3. どちらかというと嫌い (13%)        
4. とても嫌い      (0%)      
5. どちらでもない    (7%)

→3. どちらかというと嫌い、な方が13%も来て頂いたのはうれしいです。
(これが強引な客引きによるものでなければよいのですが。。)

(Q4)このセミナーを聞いて化学がもっと好きになりましたか?
1. とてもそう思う         (46%)     
 2. どちらかというとそう思う   (43%)
3. どちらかというとそうは思わない (3%)      
4. まったくそうは思わない     (0%)  
5. どちらともいえない       (9%)

→1.2. 合わせて89%あることを考えると、このセミナーをやった甲斐がありますが、
 残り12%の方がいらっしゃるという事実を真摯に受け止め、今後の課題にしたいと思います。

(Q5)このセミナーの難易度はいかがでしたか?
1. とても簡単         (1%)         
2. どちらかというと簡単    (22%)
3. どちらかというと難しい   (51%)        
4. とても難しい        (17%)          
5. どちらともいえない     (9%)

→私としては「知的好奇心をかきたてる」程度のやや難しい程度を目指していたので、
 難易度設定としては妥当だったと思います。

Q1〜Q5に加え、Q6として、ご感想、ご意見、ご要望について自由回答いただいたので、これについては次回ご紹介したいと思います。

2015年7月25日土曜日

やさしい科学技術セミナー無事終了

本日、弊学のオープンキャンパスにてやさしい科学技術セミナーを行なわせていただきました。当方の準備不足もあり、その上当日は入試関係のブースの業務もあったためにバタバタしましたが、中原さん、小倉さんのご協力のもと無事に終えることができました。
暑い中どうもありがとうございました。

午前と午後で計74名のご参加でございました。
アンケートを書いて頂きましたので、おって集計結果をご報告したいと思います。

午前の部は、私の喉がつぶれて途中からゴホゴホゼイゼイやってしまい大変失礼しました。午後の部でなんとか持ち直したのがせめてもの救いです。

添付の写真は、当日配布したフラーレンのペーパークラフトを組み立てたものです。

C60のペーパークラフトは他でもよく見かけるものなのですが、
今回はC70とC80(Ih)も新たに設計図を作りました。
これは他ではほとんどやっていないのではないかと。
ただし最適化されていないので、今後改良の余地はあります。
また、カラーリングももっと凝りたかったのですが、時間がなくベタ塗りでして、
やはりビジュアルをより良くしたいところです。


2015年5月28日木曜日

小学校

先日は教育実習を協力して下さっている小学校へ挨拶に行きました。

ところで最近はこの時期に運動会をやる小学校がほとんどだそうです。
私の頃は秋の風物詩だったような記憶がありますが、今は昔。

研究をやるにも子供のような柔軟な発想が必要ですね。

2015年5月21日木曜日

5月の様子

新学期も慌ただしく始まり、あっという間に5月も終盤になってしまいました。
5月末から研究室配属の4年生がほとんどいなくなる、という現象が毎年起こります。

というのも、うちは教育学部のみの単科大でして、ほとんどの学生は教員志望です。
小学校教諭免許の取得を目指すA類とか、
中学校・高校教諭免許の取得を目指すB類などがあります。
そしてそう、教員免許をとるためには教育実習が必要な訳です。
本学の特徴の一つとしては、教育実習を原則二回行うところでして、
おおまかに説明しますと、
3年次に基礎実習を附属小もしくは附属中・高で行ない、
4年次に応用実習を協力小もしくは協力中・高にお願いしております。

で、応用実習がおおむね5月末から始まりますので、
4年生は研究室での研究活動を一時停止し、教育実習に勤しむ訳ですね。
皆さん、実習校先でご迷惑をおかけしないようにお願いします。
願わくば、ぜひ学芸大の評価を上げてきてもらいたいと思います。
もちろん、ギリギリまでは卒業研究に邁進してもらいますが。


添付の写真は実習を間近に控えた4年生が有機溶媒精製装置からスーパードライな有機溶媒を取り出しているところ。
一般的に市販されている有機溶媒には水分や酸素等が微量含まれていて、化学反応に用いる場合によろしくない場合があります。この金属の筒を溶媒が通過すると、溶媒に溶け込んでいる水分や酸素が除去されるという優れもの。2005年ノーベル化学賞受賞者のグラブス先生が開発された触媒技術が使われております。

教育学部でこんな設備があるところなんてそうそうないですよ、きっと。




2015年4月25日土曜日

日本国際賞授賞式に出席

東京学芸大学教育学部の山田道夫でございます。
これから研究ブログをはじめていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。

さて4月23日には日本国際賞の授賞式に出席させて頂きまして、
ご来賓の豪華な陣容には圧倒されました。
衆議院議長が交代のニュースは聞いていたのですが、
早速新議長が祝辞を述べられておりましたね。

つづく記念演奏会には受賞された先生からのリクエスト曲が演奏された訳ですが、
高橋裕先生がモルダウを選ばれたところにいたく関心しました。
川に対する万感の思いが込められていた様に感じました。